WORKS AND CASE

製作実績・課題解決事例

加工先が廃業…図面と現物で引き継いだ事例|鉄道関連のプレス加工

作業台に並べられた図面とプレス加工部品の現物

長年お付き合いのあった加工先が、廃業される。

そんな知らせを受けて、頭をよぎるのは「次、どこにお願いすればいいのか」ではないでしょうか。

図面はある。現物もある。
けれど、それを引き受けてくれる会社が見つからない。

エンドユーザーへの納期は、待ってくれない。

まさにそうした状況を引き継がせていただいた一つの事例を、できる範囲でご紹介。

「同じような状況で困っている」という方の、判断材料になれば幸いです。

ご相談の背景

今回ご相談くださったのは、鉄道関連の設備に使われる、ケーブル支持金具のお話でした。

その加工を長く担っていた会社が、廃業されることになった。

手元に残ったのは、図面と現物。
ただ、それを「作れます」と引き受けてくれる先が、すぐには見つからなかったそうです。

最初のご相談は、納期の話ではありませんでした。

「この品物、作れますか」

「この現物を渡したら、やってもらえますか」

まず、引き受けてくれる加工先を確保できるかどうか。
そこが、お客様にとって一番の不安でした。

お客様が直面していたこと

加工先が見つからない、というのは、ただ「忙しい会社が断る」という話ではありません。

今回の品物には、引き受けづらい理由がいくつもありました。

01これまで扱った実績のない品物だったこと。

02板厚3.2mmのZAM材という、厚みのある素材だったこと。
普段あまり扱わないサイズの板で、最初は反りや揺れの調整が必要でした。

03鉄道のエンドユーザーへ向けた納期は、動かせないこと。

「やったことのない品物を、決まった期日までに仕上げる」

引き受けるということは、これらをすべて引き受けるということでした。

このあたりの「引き継げるかどうか」を整理した内容は、別記事でもまとめています。
▶ 金型・プレス加工の引き継ぎは可能?|外注先が廃業したときの確認ポイント

中條製作所の対応

STEP1図面と現物から、つくる形を固める

まず取りかかったのは、図面と現物の読み合わせでした。

残されていた図面と、実際の現物。
その両方を突き合わせながら、どうつくれば同じものを再現できるかを、一つずつ固めていきました。

STEP2金型をつくり、試作から量産へ

固めた形をもとに、単発プレス用の金型を製作。
試作を重ね、量産へとつなげていきました。

工程数は、10〜15ほど。
プレス加工から曲げ、仕上げまで、社内で一貫して進めました。

中條製作所が引き継ぎ製作した鉄道関連のケーブル支持金具
引き継ぎ製作したケーブル支持金具の現物

STEP3つくりながら、細かな課題に手を打つ

実際に量産へ移していく中では、現物どおりに仕上げるための細かな調整がいくつも出てきました。

その都度、工程ややり方に手を入れながら、安定してつくれる形へ整えていきました。

一番の難所だった「納期」

今回、最も難しかったのは、技術そのものよりも納期でした。

やったことのない品物を、図面と現物から金型に起こし、試作を重ねて、量産まで持っていく。

このすべてを、限られた時間の中で進める必要がありました。

鉄道のエンドユーザーへ向けた納期は、動かせません。

ここに間に合わなければ、お客様もそのまた先のお客様も、困ってしまいます。

金型の製作から試作、量産まで。
通常であれば、それぞれにある程度の時間がかかる工程です。

それを、約2ヶ月

進め方を工夫しながら、なんとか期日に間に合わせることができました。

結果として

最終的に、お客様はエンドユーザーへの納期に間に合わせることができました。

そして何より、これからも頼れる加工先を確保できた

「まず、引き受けてくれるところがあるだろうか」

そんな不安から始まったお話は、こうして一つの形になりました。

まとめ

加工先の廃業や撤退は、ある日突然やってきます。

図面や現物は残っていても、それを引き継いでくれる会社が見つからない。
そういうご相談は、決して珍しいことではありません。

私たち中條製作所は、創業から50年以上、金属プレス加工に携わってきました。

長くお付き合いいただいた会社が事業を終えられるとき、その後を引き継がせていただくことも、少なくありません。

「他で断られた」

「図面しか残っていない」

「現物はあるが、つくれる先がない」

そうした状況こそ、一度ご相談いただければと思います。

すぐに「できます」とお約束できないこともあります。
それでも、まずはお話を伺うところから始めさせてください。