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2026年06月02日

金型・プレス加工の引き継ぎは可能?|外注先が廃業したときの4つの確認事項

取引先の廃業連絡を受け、書類を確認しながら考え込むメーカーの購買担当者

「来月をもって廃業させていただきます」

長年お付き合いいただいてきた金型・プレス加工のお取引先から、
ある日突然そんなご連絡が入る——。

購買担当・設計担当・商社の方にとって、
不安が一気に押し寄せる瞬間ではないでしょうか。

▼ こんな不安が頭をよぎる

  • 新しい加工先は見つかるだろうか
  • 同じ品質で安定供給を続けられるだろうか
  • そもそも、この金型は引き継いでもらえるのだろうか

創業以来50年以上、金型と向き合ってきた東大阪の中條製作所では、
こうしたご相談を数多くお受けしてきました。

その経験からお伝えできるのは——

順を追って確認していけば、
引き継ぎは十分に可能
なケースが多いのです

本記事では、購買担当・設計担当・商社の方が、
ご自身で引き継ぎ可否を確かめ、新しい外注先と落ち着いて話を進めていただくための
4つの確認ポイントをお伝えします。

✓ この記事を読むと分かること

  • 廃業のご連絡を受けたあと、最初に確認しておきたいこと
  • 引き継ぎ可否を判断する4つのチェックポイント
  • 新しい外注先へスムーズに相談を進めるための整理方法
  • 「対応が難しい」と言われたときの代替ルート

ステップ1
廃業のご連絡を受けたら、まず確認しておきたいこと

新しい外注先を探し始める前に、
廃業されるお取引先と一度確認しておきたいことがあります。

それは、引き継ぎに必要なモノが手元に残るかどうか

廃業されるお取引先のお手元では、設備の整理や引き継ぎ作業が一斉に進みます。
そのなかで、本来引き取れたはずの金型や図面が、所有権が曖昧なまま処分されてしまうことも少なくありません。

だからこそ、廃業のご連絡を受けた段階で
早めに動いておくことをおすすめしています。

◆ お取引先から引き取っておきたいもの

金型・図面・製品サンプル|廃業した加工先から引き取っておきたい3点
引き継ぎに必要な3点:金型現物・図面・加工した製品サンプル

🔴 これだけは必ず引き取っておきたい

  • 金型現物
    引き継ぎの中核。これがあれば、図面がなくても形状データ化が可能です。
  • 図面(設計図・加工指示書・製品図)
    手書きのメモやスケッチでも、判断材料として大いに役立ちます。
  • 加工した製品サンプル(最終納入品)
    完成形が分かれば、金型から逆算して工程を推定できます。

🟢 あれば、より引き継ぎがスムーズに

  • 検査記録・検査成績書
    量産時の品質基準が分かり、新しい外注先での品質再現の目安になります。
  • 材料証明書(ミルシート)
    使用していた素材のグレード・板厚が正確に把握できます。
  • 量産時の不良率データ
    どの工程で不良が出やすいか、新外注先での工程設計に活きます。
必須で引き取りたいもの と あれば良いものの優先度の対比
必須カテゴリ(オレンジ)と補助カテゴリ(ターコイズ)の優先度

◆ 「所有権」の確認も忘れずに

ここで一つ、特に気をつけていただきたいことがあります。

廃業されるお取引先が自社で製作・所有されている金型や治具は、
所有権がお取引先側にあるため、引き取りには別途ご相談が必要になります。

⚠ 引き取り損ねやすいもの

  • お取引先が自費で製作された金型
  • 金型と一緒に使われていた加工治具・検査治具

これらは「貸与品か、お取引先の自社所有品か」が曖昧になりやすく、
確認しないまま廃業日を迎えてしまうと、引き継ぎが難しくなることがあります。

お取引先と早めにお話しし、
何が引き取り可能か、所有権はどちらにあるかを整理しておくと安心です。

💡 このステップで大切なこと

お取引先との関係を大切にしながら、
引き継ぎに必要なモノと所有権を、早めに整理しておく。
それが、新しい外注先との会話をスムーズにする最初の一歩になります。


ステップ2
引き継ぎ可否を診断する4つのチェックポイント

ステップ1で必要なモノが手元に揃ったら、いよいよ引き継ぎ可否の判断に入ります。

金型を新しい外注先に持ち込んだとき、加工メーカーは何を確認しているのか。
ご相談を受けたときに見ている4つのポイントを、順番にご紹介します。

専門用語が分からなくても、お手元の納品書や仕様書を見れば確認できる項目もあります。
「自社のケースではどうだろう?」と照らし合わせながら読んでみてください。

01 保有設備で加工できるか
(プレス機のトン数)

最初に確認するポイント:プレス機の力

金型を引き継ぐとき、最初に確認するのは
そのプレス加工に必要なトン数(t数)が、新しい加工メーカーの設備で出せるか」です。

トン数とは、プレス機が金属を押し込む力の大きさを示す数値です。
必要なトン数が出せないと、そもそも加工自体が成り立ちません。

▼ 自社で確認する方法

過去の納品書や仕様書に「使用プレス機 ◯トン」と記載があれば、その数値を確認してください。
もし記載がなくても、廃業されるお取引先に
「この部品はどのプレス機で加工していましたか?」と聞いておくと、新しい加工メーカーへの相談がスムーズになります。

中條製作所の保有プレス機

40t / 60t / 80t / 110t / 150t(油圧式サーボプレス150t含む、計6台)

このレンジに収まる金型であれば、設備面での引き継ぎは可能です。

02 金型の面数が足りているか
(加工工程数のマッチング)

次に確認するポイント:工程数のマッチング

「面数」とは、ひとつの金型の中に何工程の加工が組み込まれているかを示すものです。

例えば、ある部品をつくるのに「打ち抜き → 曲げ → 絞り → 穴あけ」という4工程が必要だとします。
この場合、金型には最低でも4面の加工ステーションが必要です。

判断の基本式はシンプルです。

製品をつくるのに必要な工程数 金型の面数

これが成り立てば、その金型はそのまま使えます。

面数が足りない場合の代替案

ここがとても大切なポイントです。
「面数が足りない=引き継ぎ不可」ではありません。

足りない工程を補う金型を新たに製作することで、引き継ぎが可能になるケースが多くあります。
元の金型の図面があれば、新規金型との連携設計もスムーズに進みます。

03 金型の破損状況

3つ目に確認するポイント:金型の物理的な状態

長年使われてきた金型は、見た目に問題がなくても精度が落ちていることがあります。
ご相談時には、以下のような点を確認します。

  • パンチ・ダイの摩耗や欠け
  • 位置決めピンの破損
  • 金型本体の歪み・割れ

「修理・メンテナンスで復旧可能か」「一部部品の交換が必要か」「金型を新規製作した方が早いか」——
金型の状態を見て、最適な選択肢を一緒に考えていきます。

図面がなくても破損部位の特定は可能

現物さえあれば、形状をデジタル化することで、
図面がない金型でも破損箇所の特定や補修設計が進められます。

04 対応素材かどうか

最後に確認するポイント:素材の対応可否

加工する素材によっても、引き継ぎ可否は変わります。
ご相談の段階で、素材の種類と板厚をお伝えいただけるとスムーズです。

主な対応素材は以下の通りです。

  • 鉄鋼材
  • ステンレス
  • アルミ
  • 銅・真鍮 など

板厚や形状によって対応可否が変わる素材もあります。
まずは現物や図面をお見せいただいた上で、最適な加工方法を一緒に考えていきます。

💡 4つのチェックを終えて

4つのチェックポイントを順に見てきました。

ここまでで「自社のケースは引き継げそう」と感じられた方も、
「いくつか引っかかる項目がある」と感じられた方もいらっしゃると思います。

ですが、ご安心ください。
「対応が難しい」と判断される項目があっても、別ルートでの解決策が用意されています。

次のステップでは、その代替ルートについてお伝えします。


ステップ3
「対応が難しい」と言われたときの3つの代替ルート

ステップ2の4つのチェックを終えて、
もしいくつかの項目で「これは厳しいかもしれない」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、ここでお伝えしたいことがあります。

金型・プレス加工の引き継ぎは、
「そのままの状態で対応できる」か「できない」かの二択ではありません。

別ルートを使えば、引き継ぎが可能になるケースが数多くあります。
ここでは、特に多い3つの代替ルートをご紹介します。

CASE 1 面数が足りない
→ 不足分の金型を新規製作する

▼ こんなときに使えるケース

  • 既存の金型では工程数が足りない
  • 「面数を増やすには金型を作り直すしかない」と他社で言われた

対応の考え方

既存の金型に手を加えるのではなく、
足りない工程を補う金型を新たに製作して組み合わせるルートです。

元の金型をそのまま活かしながら、追加の金型で工程を補完できるため、
既存の生産フローを大きく変えずに引き継ぎが可能になります。

元の金型の図面があれば、新規金型との連携設計もスムーズに進みます。

CASE 2 図面がない
→ 現物から形状をデジタル化する

▼ こんなときに使えるケース

  • 廃業されるお取引先に図面が残っていなかった
  • 図面はあるが、古くて読み取れない
  • 「図面がないと対応できない」と他社で言われた

対応の考え方

金型現物、または加工された製品サンプルさえあれば、
形状をデジタルデータ化することで、図面がなくても引き継ぎが可能になります。

デジタル化された形状データから、

  • 金型の修理・補修設計
  • 不足部品の新規製作
  • 量産再現に必要な工程設計

といった対応が進められます。

「図面がないから無理」と諦める前に、
まずはお手元のモノを見せていただければ、何ができるかをご一緒に検討できます。

CASE 3 他社で断られた
→ まず一度ご相談ください

▼ こんなときに使えるケース

  • 複数社に相談したが、すべて断られた
  • 金型の状態が悪く、修理不可と言われた
  • 廃業日が迫っていて、時間がない

対応の考え方

「他社で断られた」というご相談は、決して珍しいことではありません。

断られる理由はさまざまですが、

  • 加工メーカーごとに得意な工程・素材が異なる
  • 設備のラインナップが異なる
  • 図面なし対応の経験値が異なる

といった違いから、
「あるメーカーでは対応不可」でも「別のメーカーでは対応可能」というケースは多くあります。

中條製作所では、
他社で対応が難しいと判断された案件にも、できる限り別ルートを探すことを大切にしてきました。

まずはお手元の金型や図面、製品サンプルの状態をお見せください。
そのうえで、ご一緒に最適なルートを考えていきます。

💡 引き継ぎは「できる」「できない」の二択ではない

「廃業した加工先から金型を引き継ぐ」ことは、決して簡単な話ではありません。

ですが、ここまでお伝えしてきた通り、
正しい順番で確認し、必要に応じて別ルートを使えば、引き継ぎは十分に可能です。

ひとつひとつのご相談に向き合い、ご一緒に最適な道筋を考える。
それが、中條製作所がこれまで大切にしてきたことです。


まとめ
金型・プレス加工の引き継ぎでお困りの方へ

ここまで、廃業されたお取引先から金型・プレス加工を引き継ぐための流れをお伝えしてきました。

振り返ると、お伝えしたことはとてもシンプルです。

◆ 3ステップの振り返り

STEP1 まずは引き継ぎに必要なモノを確認する

金型・図面・製品サンプル。
手元に残るかどうかを、廃業されるお取引先と早めに確認する。

STEP2 引き継ぎ可否を4つの視点で診断する

プレス機のトン数、金型の面数、破損状況、対応素材。
お手元の納品書や仕様書から、ご自身でも確認できる項目があります。

STEP3 「対応が難しい」と言われても、別ルートを探す

面数不足は新規金型製作で。図面がなくても現物から。
他社で断られたケースでも、加工メーカーが変わればルートが見つかることがあります。

長年お付き合いいただいてきたお取引先の廃業は、決して軽い出来事ではありません。

ですが、その金型を、そのモノづくりを、次の場所で続けていくことはできます。

廃業は終わりではなく、次の一歩のはじまりでもあるのです。

中條製作所では、創業以来50年以上、
ひとつひとつの金型と、ひとつひとつのご縁を大切にしてきました。

「これは難しいかもしれない」と感じるご相談ほど、
私たちはじっくりお話を伺います。

お手元に残ったモノを見せていただきながら、ご一緒に最適な道筋を考えていく。
それが、私たちのモノづくりへの向き合い方です。

プレス金型継承サービス

Tsunagu(ツナグ)

廃業・撤退による金型の引き継ぎに特化した
中條製作所のサービスです。

  • 図面がなくても、現物があればご相談可能
  • 他社で断られた案件もまずはお見せください
  • 手書きの図面や写真1枚からでもご相談可能

「これは対応してもらえるのか?」と迷ったら、
まずは現物の写真1枚、または手書きのメモからでも構いません。
生産ラインを止めない最適なルートを、ご一緒に考えます。

▶ Tsunaguの詳細はこちら

まずは一度、お話を聞かせてください。